J四郎

西部開拓史のJ四郎のレビュー・感想・評価

西部開拓史(1962年製作の映画)
4.0
西部開拓時代。約半世紀に渡りひとつの家族を5つの物語で追う壮大な映画。時間にして2時間半以上あります。
出演者もゴージャスすぎてジョン・ウェインが端役で出ていたり、リー・ヴァン・クリーフなんかザコキャラ同然の役で出てくる豪華さ。

この映画はシネラマという特殊な手法で作られていて、それは3つの映写機から3つの継ぎ合わされた画面に投影されるらしいです。なので画面にヘンな切れ目が見えます。けど、パノラマのような臨場感溢れる映像になってますね。

物語は1830年代から始まり西部開拓に燃える一家が主人公。この人たちの四世代にわたる壮大すぎるストーリーなんですが、あまりその必要性を感じられなかった。監督はヘンリー・ハサウェイがメインで南北戦争のパートのみジョン・フォードが担当しているようです。

内容はまさに西部劇の総決算とも言うべきもので、ゴールドラッシュがあったり、インディアンと戦ったり、列車強盗のならず者と対決したりとツボは押さえてますな。強盗退治では余計に被害が出てるやん!とツッコんでしまったが。

さてこの映画、白人によるフロンティア魂に基づくアメリカ万歳ものといえます。ただ今回よーく観ていると中身では開拓史を全肯定している訳では無い事に気づきました。特にヘンリー・ハサウェイが担当しているパートではそこを匂わす台詞がチラホラありました。

もちろん白人による残虐な侵略であるっちゅう事は動かしがたい事実ですが。今、西部開拓史を学ぶならネトフリにロバート・レッドフォードが手がけた「The West」という、めっちゃカッコ良いドキュメンタリードラマがあります。インディアン側の視点も入れていてコレよかまだ公平に描かれているかと。

色々と思う所もあるんですが映画として素晴らしいことは間違いない。CGも無い時代、広大な大自然をバックに圧倒的なスケールで展開される大スペクタクルは見応え充分です。
ハリウッドがまだ華やかな時代だけにやってる事が派手すぎます。
J四郎

J四郎