皿鉢小鉢てんりしんり

人生劇場 飛車角と吉良常の皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

人生劇場 飛車角と吉良常(1968年製作の映画)
3.5
カメラを回し続けて、誰かが出て行った後に入ってくる人を撮ったり、カメラの後ろで何かが行われた結果が前に立ち去ったり、と同一ショットに複数の行動を収めるというのがくどいほど多い。
高倉健が殴り込みに入っていくのを、家の外からずっと撮っていたので、どうせそこの障子にバッと血が内側から付いてから、破れて出てくるみたいなことがしたいのかな、と思ったらほんとにその通りだったから流石に少し呆れたが、まあ血しぶきをグラフィカルに撮る姿勢には賛成である。

吉良常が吉原で働く藤純子を訪ねるシーンで、藤純子がサラッと吉良常が座る座布団をひっくり返した。角さんのことを聞いて、障子をちょっと破るのを見ていると心配になる。

出所した鶴田浩二に語る吉良常のセリフにオーバーラップして映る、船着場に佇む高倉健の絵が良かった。石を投げ込んだ後に、そのショットでは何も展開させずにサッと親分の墓参りで2人を引き合わす。

吉良常が海で倒れるが、人が死んだり倒れたりするのは、こういう風に観客が予想するタイミングより前にかますべきだと思った。銃弾で落ちてくるイチョウの葉が少なく、ラグがあるのも良い。