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人生劇場 飛車角と吉良常のyusukepacinoのレビュー・感想・評価

人生劇場 飛車角と吉良常(1968年製作の映画)
3.4
何度も映画化された尾崎士郎の『人生劇場』。本作の監督である内田吐夢も1936年に日活で青春篇を映画化しており、セルフリメイクのようでもある(残念ながらこちらは未見なので比較出来ないが)。そんな内田吐夢監督が今回は東映で当時のスター達を存分に使い再度撮った作品となり、彼の唯一の任侠映画となった。
現在のところ『人生劇場』最後の映画化作品となっている1983年版を観たときにも感じたがやはり人物が入り組んでいるためかそれぞれの関係性を理解するのに苦労した。ただ、やはり内田監督の映像美というかそういったものは感じる作りで彼らしい奥行きの見せ方やスモークを焚いたような靄のかかった映像もあったりしたが残念ながら前作『宮本武蔵』で全てを出し切ってしまったようだ。ラストの殴り込みシーンでパッとモノクロに切り替わる演出はもうすでにそちらでなされているもの。飛車角を演じる鶴田浩二も沢島忠監督版で数年前に同役をやっているし、どうも二番煎じ感が強い。どうやら本作はその1963年版のリメイクだそうな。こちらは以前観たがあまり記憶に残っていない。
新しさという面では新国劇から参戦した辰巳柳太郎が印象的だったのと松方弘樹が青成瓢吉を演じていることか。悪役俳優である天津敏、名和宏、遠藤辰雄、八名信夫、山本麟一らに大木実、山城新伍の出演もなかなか。そしてよく見るが当時の東映の代表格である鶴田浩二、高倉健、若山富三郎に藤純子とこれでもかと集結させたキャストには拍手を送りたい。
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