スギノイチ

人生劇場 飛車角と吉良常のスギノイチのレビュー・感想・評価

人生劇場 飛車角と吉良常(1968年製作の映画)
3.8
青い霧の中に赤い霧を率いて消えていく鶴田浩二。まるで怪談映画の如し。

女性キャラが魅力的な点も良い。
この映画の藤純子は凄く綺麗で色っぽい。
決して男尊女卑的な意味ではなく、「男より弱い状態」の時が魅力的に見える。
ヒロイン以外の女キャラもいい味を出している。
特に、中盤で運命に翻弄される藤純子に対して左幸子が言った言葉が心に残る。

「あたしとどっかいかない?行き当たりばったり誰も知らない土地へさ。
丁度いい時じゃない。そういう気持ちになった時思い切って動かなくちゃ、動く時なんてないよ…一生涯無いよ…」
サイドストーリーが特に描かれるわけでもないのに、この左幸子を始めとした、この映画に登場する女性の心情が全て反映されているような味わい深い台詞だ。
脇役にこういう台詞をさらっと吐かせてしまう辺りがたまらない。
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