かたゆき

パッセンジャーズのかたゆきのレビュー・感想・評価

パッセンジャーズ(2008年製作の映画)
3.0
「生存者は5人、皆一様に憔悴しきっている。クレア、すぐに来てくれ。君には全員のカウンセリングをお願いしたい」――。
アメリカ郊外の浜辺で大規模な旅客機墜落事故が発生。
100人近い“乗客たち(パッセンジャーズ)”のほとんどが死亡する中、奇跡的に数名の生存者が発見されるのだった。
彼らの心のケアをして欲しいと、すぐに現場へと呼ばれる精神分析医の卵、クレア。
自暴自棄に陥る人、絶望の淵へと追い詰められる人、そして極度の躁状態からクレアを口説こうとしてくる男……。
彼らの話を聴くうちに、次第に墜落原因に疑問が浮かび上がってくる。
「何かがおかしい…」と独自に墜落の真相を探り始めるクレア。
すると、航空会社の人間と思しき謎の男に尾行されるようになり、カウンセリングを受けていた生存者たちも一人また一人と消えていくのだった……。
果たして事件の真相とは?そして、生存者たちは無事に社会復帰出来るのか?
悲劇的な航空機墜落事故の背後に隠された、そんな巨大な陰謀を巡って展開されるサスペンス・スリラー。

と、思わせといて、ストーリーが進行していくうちに何だかどんどんと怪しい感じになっていって、途中から「あぁ、きっとこれはアレ系映画なんやろねんな~」と思わせながらも、そのいかにも謎が謎を呼ぶ展開にどんどんと不安感が増していって、さらにはこの監督らしい美しい映像や音楽、丁寧に創られた怪しげな雰囲気なども相俟って、なかなか惹き込まれていきました。
こういう自分を取り巻く世界の根幹がどんどんと揺らいでいくような作品、もろ自分の好みなんすけど!!
特にこの出てくる登場人物の誰も彼も信用出来ない感じ、なかなか良いですね~。

「これでオチがしっかりしていれば傑作になるぞ!」とワクワクしながら観ていたのですが、最後に明かされるこの真相はさすがにちょっと……。
うーん、これやっちゃうと、もうなんでもありですやん(笑)。
現実の世界を生きる人からの目線(「シッ〇〇・セ〇〇」におけるあの少年のような)が足りないせいで、なんだか世界観が幾分か曖昧になっちゃった感が否めないですね、これ。
それまでの不穏な空気に支配されたミステリアスな雰囲気や華のある役者陣の熱演等々、最後のこの残念なオチ以外は普通に面白かっただけに惜しい作品でありました。
かたゆき

かたゆき