CANACO

アナタハンのCANACOのレビュー・感想・評価

アナタハン(1953年製作の映画)
3.2
1953年公開。マレーネ・ディートリッヒ主演『嘆きの天使』『モロッコ』(ともに1930)などで知られる巨匠ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督が来日して製作。彼の遺作となった作品。音楽は伊福部昭。

限りなく事実(アナタハンの女王事件)に則し、孤島でただ一人の女性を複数の男性が取り合うさまを描いた物語。日本映画として製作された本作は、登場人物全員が日本語で話し、ナレーションは監督自身が英語で担当している。

予算の問題からか、限りあるスペースの中で動いているため舞台のような作り。主役・和子を演じる根岸明美は、女王として振る舞っていた本物・比嘉和子感が強いと感じた。ただお芝居は当時の風潮なのか大味な印象で、大衆演劇っぽく見える。

現実に起こった話の映画化なのに、あまりリアリティが感じられず、ちょっと残念。

以下、『東京島』と同じ
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第二次世界大戦末期の1945年から1950年にかけて現実に起きた「アナタハンの女王事件」をベースにした物語。実際に“孤島に既婚女性1名(当時22、23歳)とその夫を含む31名の男性が取り残される”異常なシチュエーションが発生。
過酷なこの状況で、動物的生存本能と欲望が剥き出しに。比嘉和子を巡って男たちが争いを始め、彼女の“新しい夫”となった4名はそれぞれ死亡。過労死や行方不明者も多数出て、5年後に救出されたときには19名になっていた(20名説もあり)。この事件はマスコミに派手に取り上げられ、比嘉和子は“男性を狂わせる魔性の女・女王蜂”として世間の耳目を集め大アナタハンブームに。プロマイドが売れ、映画も当時2作製作され、比嘉本人も「アナタハン」という店名でレストランまで開いた。しかし短命で49歳の若さで他界している。
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