ユミコ

アナタハンのユミコのレビュー・感想・評価

アナタハン(1953年製作の映画)
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大勢の男たちと、たった1人の女が、孤島で数年間、共同生活をするという凄いお話で「アナタハンの女王事件」の実話に基づいて作られた映画。前半はナレーションづいていて堅苦しい。第二次世界大戦の終戦間際、サイパンに物資の補給をし、日本に帰るまでの通り道のアナタハンという名の島に軍人(元漁師)等の男性31人が辿り着く。先に1人の女性、恵子(根岸明美さま)と、その夫の元上司の日下部(菅沼正さま)はこの島に住むはめになっていた。恵子の夫は途中で行方不明に、日下部は日本に妻と子がいる。そんな2人の住む島に大勢の軍人たちが突然やって来て共同生活をし始めた。男性に囲まれてちやほやされる日々の恵子。どんどん色っぽく綺麗な女になっていく。踊りのシーンなんて同性から見ても魅惑的な「恵子さま」だった。流し目で男たちを見つめながら腰をクネクネして踊る彼女は艶かしい。恵子は元々生活を共にしていた日下部にも飽き飽きしていたし、新たな男を取っ替え引っ替えできる、まさに「女王」だった。と同時に危険もいっぱい。次第に恵子を巡り男たちは殺し合いにまで発展…。実際3人の男たちが殺されたが、恵子は生涯、自分が原因で亡くなってしまった男たちを忘れることはなかったのだろうな… と思わせる描写があったことが救いだった。鑑賞中「これ、実話なんだ……」と、何度思ったことか…!恵子が女王さながらにあの島に君臨していた数年間は、女として生まれて最高の経験だっただろうな… 危険ではあったけれど、恋もしたし、それ以外の大勢の男たちからも常に女として求められていた女だったのだから…。
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