とり

アンダーワールドのとりのレビュー・感想・評価

アンダーワールド(2003年製作の映画)
4.1
思ってた以上にダークな世界観ですなぁ。吸血鬼vs.狼男なんてモンスター映画として夢のような対決っぷり。
全体的に暗い映像でグレーがかった色調。アクション映画としての色合いが濃く、ヒロインもよく頑張ってる。どことなくマトリックス風のスタイリッシュさを感じさせるけど、微妙にズレてるというかハズしてるようにも見受けました。
なんというか、一コマ一コマが綺麗かつ格好いいんだけど、いまいち洗練されていない感じ。微妙に「プw」と笑えそうなヘナチョコアクションに見えなくもない。目指そうとしているものがわかるだけに、正直微妙なアクションシーンが多かった。おー!と目を見張るシーンも確かにあったんですけどね。

微妙な反面、手作り感バリバリで工夫がなされているなぁと思わせてくれるところはとても好感度高し。CGに頼らない、いわゆる着ぐるみやスタントを駆使してのモンスターアクションがこの映画で観られるとは正直驚き以外の何物でもなかった。
狼男が主演の2人の車を追いかけるシーンなんて興味深いことこの上なし。車の後を追って走るスピードが異常に早く物凄くビックリ。とても合成には見えないと思いつつメイキングを見たらやっぱり体当たりアクションでした。
先行する車に長いカーペットのようなものをつないで走行。その上をなんと俳優さんがスケボーのように乗って引きずられ、時がきたらそのカーペットの上を走るというもの。そうすれば先行の車以上のスピードで走ってるように見えるんですね~。
しかも俳優さんはスタントじゃなく本人というプロ根性。その後本人と思われる車との衝突シーンなんかもあったり、物凄い熱意が感じられます。

とまぁアクション前面押し出し作品ではあるけど個人的にこの映画に求めるものはそういうものではなくあくまでも設定面。これがかなり面白かった。ストーリー進行にワクワクしながらのあっという間の2時間でした。
ヴァンパイアも狼男も確かに古典的な要素を踏襲しているんだけど、それだけにはとどまらない現代風のアレンジというのかな、そういうのが効いていてとても新鮮でした。

それぞれの起源の謎に迫る描写や吸血鬼の親分の蘇生シーンが最高。不死という長い歴史を持つ種族ではあるけどきちんと現代化の波に乗っているっぽいところもまた面白いです。
薄暗く不気味な古城で先祖の遺産に頼りつつひっそりと暮らす青白い人々というイメージをことごとく覆してくれました。まぁ青白いというのは変わらなかったけど。
かと言って映像も近代的かというとそうでもなく、わりときっちりゴシックな雰囲気も醸し出しているところも素晴らしい。これは思ってた以上の当たり映画でした。←友人の一人は全然面白くなかったと言っていたので人を選ぶ作品であるのは間違いないでしょうけど。
続編がめちゃくちゃ楽しみ。解決されていない伏線がバリバリ残ってる。どこまで解き明かしてくれるのでしょうか。
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