テオブロマ

アマルフィ 女神の報酬のテオブロマのネタバレレビュー・内容・結末

アマルフィ 女神の報酬(2009年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

駄作って不思議と人を元気にする力があるんだな。点数は大好きなイタリアの美しい風景と、サラ・ブライトマンの歌声を評価した上でのもので、それを抜いたら1.0以下です。

ワンオペ初育児で疲れ切ってる中、笑いでストレス解消になるだろうとの期待を込めて鑑賞。某映画批評でボロクソ言われてて、長いこと気になって気になって仕方なかったのをようやく観ることができた。批評されてた通り、つっこみどころ満載過ぎて真顔になるどころか一周回って笑えてくるレベルだし、これのアメリカ版が『ツーリスト』だという意見にも大納得。スローモーションの使い所がどこも意味不明だし、しかもそこで必ず同じBGMが入るのはもはやギャグ。あと何の前触れもなく入る謎の映像・音楽ぶつ切りカット、一瞬「!?」となってとても心臓に悪いからやめて欲しい。何で2回もあるんだろう。

本編開始後、いきなり始まるのが話に全く関係ない観光CMみたいな映像という時点で、本作の駄作ぶりを早々に悟らせてくれる点は良いと思う。思いっきり尺の無駄遣いなんだけどあれ必要?無駄遣いは外交官だけの特権ではなかったらしい。ちょいちょい入る会議シーンのくだらなさについてはもう言葉もないので、とりあえず『シン・ゴジラ』の爪の垢でも煎じて飲んでくれないかな。

イタリアで最も多い犯罪はスリだという会話の直後、手荷物から思いっきり手も目も離しちゃうようなタイプだから天海祐希は娘を誘拐されちゃうんだと思う。まぁそれは戸田恵梨香に言ったんであって、天海祐希には関係ない話だから仕方ないんだけど、単純に描写として間抜けだなぁって。車で走行中、主人公・黒田より背景のコロッセオの方が目立ってるけどいいの?あっ観光ムービーだから?そっちの方が大事なんだ?とか考えちゃって気が散ることこの上ない。直後の音楽ぶつ切りからのタイトル表示とか、イタリア語できない戸田恵梨香に「できないと思うからできないままなんだ」的な根性論で人命がかかってる重要な要請を任せるとか、それいいの?

セキュリティ会社にクラッキングできるくらいの犯人グループなのに侵入するのは梯子でなのかよとか、彼らの華麗な早着替え(しかもスローモーション)が面白過ぎるとか、対象が成人男性から少女に変わってたら普通近づく途中で気付くだろとか、たかだか民間のセキュリティ会社にあんなに広範囲かつ国民の生活に即影響が出るレベルのシステム権限を全掌握させといていいのかとか(サマーウォーズでも似たようなことを思った)、つっこみが止まらないのである意味観ていて楽しい。雑過ぎて。次に一体どんな意味不明なことが起こるのかワクワクする。あと犯人グループの女性がめっちゃ美人なのが良い。

誘拐された女の子は犯人から何て聞かされてたのか知らないけど、電話越しにふざけられるほど懐いてる顔見知りなんだし、「お母さんは他に用事ができちゃっておじさんが君を預かることになったから、お母さんと合流できるまで一緒にいよう」みたいな感じで適当に嘘付かれてたんだと思う。電話で母親に声を聞かせなかったのは、楽しそうに話されたら計画が台無しになるからで、苦肉の策として新聞で笑ってる口元を隠した写真を出してたと。再会した母親があんな必死の形相で縋り付いてきたら怪訝な表情のひとつもしそうなのに、あの女の子そこは不思議に思わなかったのかな…雑だなぁ…あと織田裕二と天海祐希、国際問題級のやばいことやってるのに何普通に日常生活に戻ってんの?ほんとそういうとこ雑。まさに駄作の鑑。

エンドロールのサラ・ブライトマンは使い回しだし、何かやたらとキスしてる人ばっか映してるし、最初から最後まで何がしたかったのかいまいちよく分からない映画だった。こんなのが開局50周年記念で本当によかったのかフ●テレビ?

ボロカスに言ってるけど、これでも鑑賞中はずっと半笑いで観られたので結構楽しかった。『ドラゴンボールエボリューション』には及ばないけど、そういう意味で光る部分のある作品。最近疲れてて何でもいいから笑いたいという人におすすめ。
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