hummingbird

生きとし生けるもののhummingbirdのレビュー・感想・評価

生きとし生けるもの(1955年製作の映画)
-
山本有三の原作を、橋本忍が現代に置き換えた作品。ボーナスの支払いミスを発端にした群像劇で、社長とその周囲の人間と、普通の社員が対比される。

先が気になる展開、キャストが魅力的で面白い。裕次郎前の日活作品で知らない俳優さんが多いのが珍しい。

三国連太郎は気が弱い普通の人(この人は演技のパターンが同じなのに、ちゃんと性格が違って見えるのが不思議)。細かい表情で感情を表す。北原三枝の素敵女子ぶりが最高。

原作では「恵まれた者と恵まれない者」だったのを、橋本忍が「資本家と労働者」に変えたのか?、橋本忍はあまり学生運動や労働者運動が好きではないような印象(おそらく主張を理解していない)。原作が未完だから、ラストもあえて結論を出さなかったのかな?

撮影は高村倉太郎で、この作品は全景とアップでできたシンプルな構成。山村聡の家の中から庭への移動撮影。三国連太郎と南寿美子が雨の中を走るシーンはいかにも映画的な美しさ。
hummingbird

hummingbird