Kachi

陰陽師 〜おんみょうじ〜のKachiのレビュー・感想・評価

陰陽師 〜おんみょうじ〜(2001年製作の映画)
3.0
今年公開の「陰陽師0」の予習?として鑑賞

藤原京から平安京にかけての日本は、呪術的な世界観が健在であり、今でこそ人気マンガ・アニメで身近となった鬼や呪術満載の作品であった。

当時の技術かつ予算も考えれば、仕方がないとは思いつつも、全体的に2000年代初頭の映像作品であるということを再確認した。

安倍晴明が繰り返し述べるこの言葉がやはり印象的だった。

「名を付けて縛る」

現代社会において、魔術や怨霊は非科学的なものとして真面目に取り扱われることは少ないが、本質は同じである。私たちは、不確かなことや不安なことに名前を付ける。そのことで時には安心を得ることもある。(例えば、LGBTQやADHDなどは現在人口に膾炙することによって人々の理解を得られている側面がある)

ただ、私たちは名称がつけられることによって実存が規定される。それが時には私たち自身の在り方を限定したり、かえって不自由な存在に陥れることさえある。

つまり私たちの使う言葉は、そのまま呪いとなることがあるのだ。ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の、みくりの伯母ゆりちゃん(石田ゆり子)を通して語られた「自分に呪いをかけないで」もまさにそのような文脈で発せられた。

平安時代のあの呪術的世界観を侮るなかれ。そんなことを年の初めに改めて思った。
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