カタパルトスープレックス

ジャバーウォッキーのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

ジャバーウォッキー(1978年製作の映画)
3.2
テリー・ギリアム監督の初の長編作品です。モンティ・パイソン的でもあるし、テリー・ギリアム的でもある。最初の単独監督作品なので過渡期的な位置づけとも言えますね。ノリ的にはテリー・ギリアムが共同監督を務めた前作『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』(1975年)にかなり近いです。クライテリオン版のBDで鑑賞。

ルイス・キャロルのナンセンス詩『ジャバウォックの詩』に登場する怪物ジャバーウォッキーを退治する話。王様ブルーノは怪物ジャバーウォッキーを退治するナイトを選ぶためにトーナメントを開催します。小さな村から城下町にやってきたデニス(マイケル・ペイリン)はトーナメントを制したナイトの付添としてジャバーウォッキー討伐に付き合わされるのですが……という話です。

まず、モンティ・パイソンの伝統に従い、歴史考証がちゃんとしている(のだと思う)ため、中世の世界がリアルに描かれています。全くファンタジーじゃない。すっごく汚い中世の世界。まず、この世界が好きかどうかで好みが分かれると思います。衣服も汚れているし、食べ物も不味そう。足首が切られた男や、馬の死骸。ブンブン飛び回る蠅。

ストーリーもあってないようなものです。途中でモンティ・パイソンらしいシニカルな笑いが入ります。このブラックさはいかにもイギリス人ですよね(テリー・ギリアムはアメリカ人ですが)。モンティ・パイソンが大好きな人だったら、このノリはついてこれる。しかし、それ以外の人は多分置いてきぼりにされるんじゃないかなあ。

これを観るのであれば、『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』の方がいいかな。まあ、『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』を観るならテレビ版の『空飛ぶモンティ・パイソン』を観た方がいいのですが。