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真実の行方のHARUのネタバレレビュー・内容・結末

真実の行方(1996年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

「落下の解剖学」を観た後に、本作を観ると「真実って本当になんだ?」となります。それだけではなく、「優しさ」「理性」「心身」の存在に対して懐疑的になります。「世界は美しい」と語るお姫様や王子様が本作を観たら泡を吹きながら失神するでしょう。

内容は、法廷劇。容疑者をどんな手を使っても、無罪にしたい弁護士。しかも彼は「人間=生まれながら善」を信じている。手口は汚いけど、「ヒーロー」のような存在です。そして、大司教殺人事件の容疑者であるオドオドした多重人格の青年。そんな彼も信じて真実を追求していきました。様々なアクシデントがありながらも、なんとか無罪を掴み取る。

しかし、青年は真実とはほど遠い「嘘」の塊だった。そんな嘘を必死に守ってしまったと強く後悔、いや呆然とした弁護士が棒立ちして終わる。

素晴らしいストーリー展開、キャストの演技力がこれでもかと輝いた作品でした。

きっと、リチャードギア以上に観終わった人は唖然としてしまうでしょう。ストーリーを読めていた人も胸糞悪くなったのではないかと思います。

「真実・信じる行為」は救いになることもあるが、時には心をズタボロにする「虐殺兵器」にもなる。そんな悲しい世の理をバーンと突きつけられた作品でした。真実って本当に何なんでしょうね。
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