わた

人のセックスを笑うなのわたのネタバレレビュー・内容・結末

人のセックスを笑うな(2007年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

美大生のみるめくんが、20歳以上離れているリトグラフ講師のユリちゃんに、恋をする、というお話。

3回目にして、やっとちゃんと好きになれた。

あの淡い、フィルムカメラで映し出したみたいな、少しざらついた映像感と、カメラワークがまず好み。定点カメラで撮影しているみたいな映像で、同じ画角のまま数分経過していくのが普通。それはまるで、この世界の誰かの日常を切り取って、覗き見しているような気持ちにさせてくれる。

「人のセックスを笑うな」、どういう意味なんだろう。誰かが誰かのセックスを笑うシーンなどはひとつも存在しないので、平坦でのんびりした映像と強烈な作品名の結びつきが分からず、5年前に観た時のわたしには、それほど刺さらなかった気がする。だけど、この作品名のあとに、「Don't rough at my romance.」と書いてあって、やっと自分の中に、この作品の着地点を見つけられたなぁと思えた。

どんなに見苦しくても、どんなにださくてかっこ悪くても、例えばそれがいびつで認められないようなものだったとしても、誰かと誰かの恋愛は、誰かがばかにしたり、笑っていいものでは決してない。自由に、一生懸命に、そして大切に。人それぞれでいーんだよって、言われてるみたいだった。

映画の流れ自体は本当にゆっくりで、特に大きな何かがあるわけではない、いい意味でずっと平坦な映画。起承転結がはっきりしている映画が好みな人は、とことん不向きな気がする。

ー会えなければ終わる、そんなもんじゃないだろう。

だってさ。
わた

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