友二朗

仁義なき戦い 広島死闘篇の友二朗のレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)
4.6
「ええ男になれよ」

終盤の画がひたすら良い。

松永弘が格好良すぎる。
この100分間だけで心底惚れた。

大友の凶暴さ、そして自由さ。
山中、村岡、広能、山守、大友。
全員のキャラが燦然と光ってる。

ヤスコがほんとに美しい。
最初の大友組流石に理不尽すぎる。
広能と山中、坂井と広能。時代の移り代わりを感じる。菅原文太の広さ。

初めて人を殺した後の震え、口笛、そして緩む口元。リアル。からの寺田達大友組組員三名やった後の静かな息の確認、からの口笛。人は変わりゆく。

殴り込みからの乱戦シーンの撮影凄い。
広能組できたんや。いいね。島田寅さんのヒロシやん、なんか温かい。

匿うの蹴って、部下が犬の肉持ってきて迷わず山守の所に行く広能。いい上司や。

親父さんの背を追って玄関で言葉無く土下座する山中。その後、床からの流れる光を使ったカット割りがお洒落。

高梨からのヤスコの現状。辛い。
と思ったら先を考えないヤスコの我儘と純愛も、村岡の娘を思う純愛も光っている。村岡まじでいい男や。と思ったらマジか。親父...。哀しいな山中。

山中が銃を両手で持って俯いて待ってるシーンの画の渋さよ。ヤスコ来てからの目の血走り方が演技に見えない。表情の作り方が凄すぎる。

ミツオの的当てシーン怖すぎ。
バケモンやん。人間ちゃう。
原爆スラムのシーン全部、映画観てるって感じが凄かった。ここから大友にカタルシスを感じる。

雨降る逃亡シーン。影と光とサイレンの音だけでなんて奥行きある演出だろう。弾を握って眠る山中。絶望の目覚め。マッチに火がつかず泣いてしまう山中。音楽が無いのが良い。僅かな水滴を待つ山中。ヤスコの凄まじい叫び。真っ黒になった山中。銃口に砂を詰める山中。咥える山中。

再び葬式ラスト。笑う村岡。
タバコを口から離す広能。

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よお噛んでえ、元気つけないや。のお?

極道になってからというもの、そがあな勝手な喧嘩は許さんからの。その根性はええ。

ほいじゃこれ使え。ええ男になれよ?のお。

ウチだって、たまには1人でいたい時もあるんよ。

すぐしたら帰るけん、ちょっとここにキスして。

親父さんに真っ二つにされるど!

銭に身体張って何が悪いんど?

いやいや、親父さんに買うた肉ですけ。

のう、時守ならワシがかこうちょるがのう。

のう。手ぶらじゃ帰れんゆうんか。
ワシも格好を付けなならんですけ。

銭を返しゃあ、義理が返せるんか!

惚れ合うとるんなら、2人で相談して決めりゃあええ。ヤスコはワシが娘代わりに育ててきた子じゃけえ、大事にしちゃってくれい。のお?

特攻で死んだ人は大事にしにゃのお。

バカゆうとらんなら!広島の喧嘩ゆうたらよお!銭やかたつきやせんのかい!

村岡さん、法は法ですけえのお、あの男だけは隠さないで下さいよ。

親父さん、これでワシを撃ち殺して下さい
納得したらそれでええじゃないか

やっちゃんに縁談があったにしてもよ、それを喜んでやるんがお前、ほんまの愛情ちゅうもんとちゃんか?こなあが中におってよ、やっちゃんに一体何をしてやれるんなら?黙って二十年も待たす気か!?のお、この世界ではの、留守の女子のお守りをするほど難しいものはないんで?己の勝手はがり考えよって!おお?親父さんまで疑うてよ?それで村岡の若い衆じゃゆうていけるんか!男になりゃせんじゃないか!
兄貴、よお分かりましたけえ。
ちったあ大人になれや。のお?

名シーン。

代わって強敵となったのは警察であった。
んあーリアル。

時代は代わっとるんで?いつまでも警察舐めとったら承知せんど?

ワシゃあ広島から離れたくないんです。
じゃが、親父さん置いてヤスコだけ取ってく訳にはいかんのです。ワシゃ親父さんには一生かかっても格好付かん借りがあるんです。

撃ち合いもせんかったけえ、ありゃあ表彰もんじゃあ言うとったよ。
ありゃあ男の中の男じゃ。

だが、今その墓を訪れる者は1人も無い。
友二朗

友二朗