ボブおじさん

太陽の季節のボブおじさんのレビュー・感想・評価

太陽の季節(1956年製作の映画)
3.3
〝青春貴族〟を無軌道に謳歌する湘南の不良富裕層の性やモラルをセンセーショナルに描いて一躍社会に大きな衝撃を与え、〝太陽族〟なる流行語をも生み出した、石原慎太郎の同名の原作(芥川賞受賞)の映画化。

旧来の価値観や道徳に反する、若者世代の異常な生態を描いて時の〝大人たち〟に大きな衝撃を与える作品は、古今東西いつの世にも存在する。

それを識者と呼ばれる人たちは〝新しい時代のうねり〟だとか、〝時代の狭間が生み出した恥部〟などと持ち上げたり、貶めたりするのである😅

だが、肝心の若者たちは、大抵〝あんな奴ら見たことも聞いたこともない〟とシラケているものだ。

つまりこの映画も当時の多くの童貞高校生にとっては、自分とは無縁の世界の話であり、そこにあるのは、〝憧れ〟と〝やっかみ〟だろう。

映画は、原作の雰囲気をそれなりに出してはいるが、小説で話題になったシャワーを浴びた竜哉が英子の目の前でいきり勃ったモノで障子を突き破るシーンの描写はかなり物足りなかった😅

原作者の石原慎太郎も竜哉の友人役で顔出ししてるが、彼の推薦で後に戦後最大のスターとなる石原裕次郎が出演し、脇役ながら俳優デビューを飾っている。

この時、兄慎太郎23歳、弟裕次郎21歳。今の同年代の作家や俳優が大人たちの都合で消費され振り回されている年齢で、彼らは完全に世の中を振り回していた😊

まだ戦後10年だというのに、それまでの大人たちが頑なに守り続けてきた、古いモラルを壊しにきている。作品や個人についての好き嫌いは別として、青臭さはあるものの勢いだけは確実に感じ取ることが出来る。


〈余談ですが〉
30数年前初めてこの映画を見た時、主演の長門裕之が誰かに似ている⁇
誰だろうと考えていたら〝あ!〟

そう、サザンの桑田佳祐の若い頃にそっくり😊

それ以降、彼がどんなにモテても納得。
この手の顔は時代を超えて女にモテる顔なのだと思えてくる。