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疑惑の影のkojikojiのレビュー・感想・評価

疑惑の影(1942年製作の映画)
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1942 年 アメリカ作品
ヒッチコック23/53

私がイメージするヒッチコック劇場の王道の一本。ただし小品ではあるが。

カリフォルニア州の小さな街サンタローザ。その街の平凡な家庭オークリー家に妻の男チャーリーが訪ねてきた。同じ名前の長女チャーリーはこの叔父が大好きだった。
ところが、チャーリーは、土産にもらった高価な指輪にイニシャルが刻まれていたことから不思議に思っていた矢先、刑事に叔父が3人の未亡人を殺した容疑者の一人と告げられる。叔父の行動に疑いの目を向け始めるチャーリー。明るい日常生活の中でチャーリーひとりが、叔父が殺人犯かどうかの疑惑にさいなまれていく......。

裏の顔を持つ叔父。それを知っているのは自分だけ。しかも家族全員がこの叔父を信じ切っている。しかし、どんどん疑惑は深まるばかり。この設定はたまらなく面白いが…。

長女チャーリーを演じるのは「ミニヴァー夫人」でアカデミー賞助演女優賞を受賞したテレサ・ライト。
疑惑の叔父がジョセフ・コットン。


ネタバレ注意



この未亡人殺人には、それなりの理由があるように語られる。ちょうどドストエフスキー「罪と罰」のラスコーリニコフのような道理なのだ。そこまではいいのだが。
その殺人が正当な理由があるにしろ、殺人がバレるのを防ぐために、自分を愛する人を殺そうとするだろうか?
最後の犯行を企てたということは、元々単なる殺人鬼だったのでないか。

と考えると、不思議なのは、そんな殺人鬼の性向を見抜けるない姉の存在だ。あまりにノーテンキすぎないだろうか?
ヒッチコックは面白いストーリーを展開するために、大事な常識の部分をわざと見落している気がする。

2023.04.23視聴180
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