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ニュー・ワールドのodyssのレビュー・感想・評価

ニュー・ワールド(2005年製作の映画)
3.3
【ポカホンタスという微妙な素材をあえて映画化】

テレンス・マリック監督作品。 

ヨーロッパ人がアメリカ大陸を「発見」してあまりたっていない時代、入植者のスミス大尉と原住民の娘ポカホンタスは恋に陥るが・・・。

ポカホンタスの話自体はしばしば白人側によって都合の良いように神話化され、近年ではポストコロニアリズムの観点から原住民側の都合も尊重した描き方がされるようになってきたようではあるが、いわば非常に微妙で難しい材料に正面から挑み、しかし映画的な見せ場も用意しながら作られている作品である。 

ただし、そのために全体の印象は一元的な感動に帰着することなく、曖昧さを残しているように見える。 

しかしその曖昧さに耐えることを、監督は求めているのであろう。新大陸の整序されない自然と、最後に出てくる英国の、切り整えられた自然である庭園との対比が、作品の主題を暗に示しているようにも思われた。
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