あさり

きわめてよいふうけいのあさりのレビュー・感想・評価

きわめてよいふうけい(2004年製作の映画)
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写真家・中平卓馬の晩年を写した映像として、(後述する一点を除き)彼の生き方を知れるよい映画と思う。ホンマタカシ流の写真的な映像もおもしろい。
ただ、終盤は不要だったと思う。彼の死を撮ることが誰かに向けた抗議になるのなら話は違うが、写真の強度をそのまま映画に移し替え、死のタブーを犯したせいで公開向きの映像ではなくなっている。いや、写真でもこれは駄目か。
写真を撮る人は、どうしてこの写真なのかと問われると「たまたま、運良く」撮れたと答える。では、あなたはその責任を取る気はないのかと問いたい。誰がどのように見るかというのを表現者は考える責任があると思う。

以下、映画と無関係
アフタートークで、ホンマタカシがひとつ上、中平世代の作品への感想を求められて、なかなか難しいものがあると言っていた。自分のスタイルを確立するためには、まずひとつ前のものを否定する必要があった、と。私の2つ上の世代であるホンマの作品を私が好きになりきれないのは世代のせいもあるのかもしれない。
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