天馬トビオ

エロス+虐殺の天馬トビオのレビュー・感想・評価

エロス+虐殺(1970年製作の映画)
3.5
新幹線で上京する野枝。新宿駅西口で野枝にインタビューする現代の女子大生。高速道路わきで行われる殺陣……。時空間はねじくれ、大正末期と撮影当時(1969年)が交叉する。

画面下ギリギリに人物を据えたカメラアングル、構図の斬新さには息をのむ。モノクロ露出オーバーの白っぽく飛んだスクリーンに映し出される、花吹雪の下をそぞろ歩く大杉と野枝の冒頭シーンの美しさ。日蔭茶屋事件での殺傷シーンで、大杉に向かってバタバタと倒れかかる襖の演出の妙。

吉田監督の技量、端正な細川俊之、美しすぎる岡田茉莉子。三位一体となって映画が作られた。

「野枝さん、あなたたちを虐殺したのは何ですか?」
天馬トビオ

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