大正ロマンを代表する画家、竹久夢二を題材にした物語。
物悲しい音楽で始まるからこの物語はこんな色で溢れているんだろうなぁなんて思いながら見始めた。
目で語るシーンが多いのが印象的。欣也さんの目力はお若い頃から健在なんですね。
梶芽衣子さんの瞳も麗しい。
夫の恋人と「三人で暮らしましょう」と囁き、「今のあなたは私がつくったのよ!」と縛る。愛憎の念が入り混じる姿に胸が苦しくなった。
美しさや愛おしさを繊細に見出せるからこそ秀でた絵が描けるのか。求める力が強すぎて出会う女性を押し潰してしまうのか。芸術家の見る世界は私の見ている世界と少し違っているのかな…なんて思えてきた。
恋に生きた男のイメージがあったのでもっとドロドロしているのかと思っていたけど割とアッサリとした作風に感じられた本作。
それでも、やっぱり夢二は恋に生きたんだろうなとは思う。誰かを強く愛しているようで誰も愛していない。あれが誰の絵でもなく彼の理想なのだとしたら…あの子はただの幻になってしまう。
他の作品も見てみるか。
特報の言葉選びがたまらなく好き。