ーcoyolyー

ウォール街のーcoyolyーのレビュー・感想・評価

ウォール街(1987年製作の映画)
3.5
これスコセッシ(売れない頃のオリバー・ストーンに目をかけてたという師弟関係があるとさっきまで知らなかった)が「ウルフ・オブ・ウォールストリート」を撮る時にまず念頭に置いてた映画だと思うんですけど、文法としては完全にマフィア映画の文法で作ってるんですね。

そこで唯一カタギのマーティン・シーンがカッコいい。とにかくカッコいい。でもマーティン・シーンとチャーリー・シーンという実の親子を親子役でキャスティングしてるのはそれこそ劇中でマーティン・シーンが語る売春婦的なるものではないでしょうか。そういうことやるの良くないと思う。わたしゃ好かん。マーティン・シーンが完全にそこに乗せられて虚実皮膜の間から、嘘もまことも超越した顔を見せている。でもこれリアリティショーを見たいという下衆な感性に消費させちゃいけないものですよね。これは映画を汚してますよね。

マーティン・シーンはこの映画において売春婦的なるものを一身に背負わされている。「感動ポルノ」における「売春婦」の役割。

スコセッシはもっと映画に真摯で映画に対する売春婦のようなものは排除する、だから「ウルフ・オブ・ウォールストリート」になる。「ウォール街」から売春婦を排除した振り切れ方。これは大変に信頼できる。

オリバー・ストーンは映画に変な色気を持ち込む。自分の良心と本人は思ってるのかもしれないけどあんなもの良心ではない。普段ベラベラと綺麗事をよくもまあここまで並べられるものだと思うくらい押し付けてくるのに、いざという時に全く信頼できないタイプの人。自分が助かるためなら他人をたやすく蹴落として、自分の安全を確保してから高みの見物決め込んで上からまたベラベラと言い訳と綺麗事をぶん投げてくる人。
こういう人ってわかってやってるんだと私ずっと思ってたんだけど意外とわかってないんだよね。お前のやってること感動ポルノじゃねえか、と指摘すると激昂するんだよね、本当びっくりする。良き人間である自分に酔ってるからお前別にいい奴じゃねえよ、と指摘すると、自分はこんなに良い人間であるのにそれをそうやって言い募るお前がいかに酷い人間か、という方向に怒りながら持ってこうとしますよね

オリバー・ストーンが率先して開催する学級会には是非とも欠席させていただきたいものです。
ーcoyolyー

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