ぽち

フラガールのぽちのレビュー・感想・評価

フラガール(2006年製作の映画)
3.2
全力で泣かせに来ているストーリー、演出に乗れると気持ち良く観られる作品。

昭和を思わせる超ベタな演出やストーリーは、正直恥ずかしいレベルではあるのだが、肩の力を抜いてだらっと見ると入り込める。

もちろん「実話」ではなく、ハワイアンセンターにまつわる史実を元に90%以上の脚色を加えたフィクション。
ここら辺はちょっとググって見ると詳しく出ているので、興味のある方は調べてみると良い。

現実でも初公演まで3カ月しかなかったそうで、それをなぞってダンス素人の役者に3か月練習させて撮ったそうだ。
まぁ、ぎこちなさのリアリティは出るものの、スローモーションや速いカット割りで誤魔化そうとしているのも見えてちょっと興ざめ。

ある意味群像劇で、完全に中心に来る人物はいないのだが、これは怪我の功名とでも言おうか、演技の甘い役者に主演を張らせるよりは分散しているぶん見やすい。

キャラクターのバックボーンは全部フィクションだが、谷川紀美子のモデルとなった小野 恵美子さんの人生が興味深く、彼女のドキュメンタリーとか作ったら良いものが出来そうだ。

ベタなお涙頂戴にどっぷりとハマりたいときにはお勧めの作品。



余談。
今作の準主役的な女子高生「谷川紀美子」。
モデルとなった小野 恵美子さんは全く違う性格だったそうだ。

元々、小学生の頃にクラシック・バレエを学び始ていて、高校を卒業後、就職先の忘年会でバレエを披露したことが縁でスカウトされた。
第一期では一番年上だった。

ダンス教師の平山まどかのモデルとなった早川和子さんも本当はハワイ帰りのバリバリのダンサー。

小野さんは踊り一筋の人生で、フラを始めた時も教師の早川さんと寝起きを共にして、「たまには休みなさい」と言われるほど練習を積んでいたそうだ。

このキャラだとお涙頂戴のストーリーが作りずらいのは分かるが、こっちの方が魅力的だなぁ・・・

あ、あと、大変失礼だが、まだハワイアンセンターがあることに驚いてしまった。今は「スパリゾートハワイアンズ」というそうだ。

この施設の浮き沈みの激しい事と言ったら・・・これを映画にしても良い物が出来そうなくらいドラマチック。

数回の浮き沈みを経て東日本大震災とコロナウイルスのダブルパンチ。
今はかなり危ない所まで沈み込んでいる所だが、ぜひ頑張って盛り返してほしいものだ。
ぽち

ぽち