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モンスターのCinemanのレビュー・感想・評価

モンスター(2003年製作の映画)
4.0
『モンスター』
パティ・ジェンキンス監督
2003年アメリカ
鑑賞日:2023年2月10日

【Story】
1986年、アメリカ・フロリダ。
こどもの頃からマリリン・モンローのような銀幕の大スターになることを夢見ていたアイリーン。
しかし現実には13歳の頃から娼婦をしている。
ヒッチハイクをしながら男に体を売る日々。
そんな自分自身に愛想をつかし疲れ果て自殺を考えた彼女は男にフェラして受け取ったばかりの5ドルを使いきって死のうと心に決めて近所のバーに入る。
その店は同性愛者たちが相手を探し求めるバーだった。

カウンターで一人で呑んでいたアイリーンに目をつけたセルビー(クリスティーナ・リッチ)が近づく。
意気投合した二人は恋に落ちます。
セルビーと一夜を過ごす為のホテル代を稼ぐ為にアイリーンは客をとるが諍いとなり客を射殺してしまいます。
その後も二人の生活のために売春を続けルアイリーンは衝動的に再び殺人を犯します。

同性愛者であるために父親から疎まれて父親の友人ドナ(アーニー・コーリー)の家に預けられていたセルビーと、世間に受け入れられない自分自身に絶望している娼婦、2つの孤独な魂はしっかりと寄り添います。

セルビーがとアイリーンが付き合っていることを目撃したドナの息子はドナに告げ口したこともあり町に要られなくなった二人のは新しい生活に向けて町を出ることにしました。

【Trivia & Topics】
*全米初の女性連続殺人犯アイリーン・ウォーノスの生涯の映画化です。

*日本でも最近話題になっていますがアイリーンは貸倉庫に住みついています。アメリカではこの頃すでにホームレスが貸倉庫に住んでいたんですね。

*顔中しみだらけ、髪はぼさぼさ、肉に締まりがなくいつも同じジーパンに汚いTシャツを着たアイリーン。ニオイが画面から漂ってきそうなそんな娼婦を買うのは変態まがいの男たちばかりでそれが殺人を起こす引き金となりました。

*貧困家庭に生まれ親から疎まれ手に職はなく家もなくどん底の暮らしから這い上がろうにも誰からも相手にされないアイリーンは言う
「人とはすべての環境が違いすぎるワタシには選択肢がなかった」
そんな彼女をたった一人の女性が愛してくれ、彼女も愛した。しかし現実の社会は彼女たちをどんどん排除していった。
そんな哀しい物語です。

・LGBTQとセロン。
本作品はLGBTQを扱った作品です。セロンは未婚ですが故国アフリカから二人の養子を迎えています。上の子のジャクソンは7歳の時に自分がトランスジェンダーだとカミングアウトしました。
セロンは世間がジャクソンを彼と呼ぶことによりジャクソンが傷づくことを恐れ。このことをインタビューでも公言し、ジャクソンを長女として育てています。セロンは子どもたちが結婚すると決めた時には「男の子と?それとも女の子と?どんな結婚をするの?」と話し合うことから始めますとインタビューで答えています。

【5 star rating】
☆☆☆☆
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