ちろる

海角七号/君想う、国境の南のちろるのレビュー・感想・評価

3.6
1945年、台湾島が見えなくなってしまった。
君はまだ、あそこに立っているのかい?

日本統治時代の台湾で日本語を教えていた日本人の若者と教え子の少女の切ない恋物語を60年後の現代の青春ラブストーリーと絡めて描いた青春ストーリー。

低迷期だった台湾の映画界において、こちらの作品は「タイタニック」に次ぐ記録的な興行成績を収めたという。
現代のヒロインの友子役をトニー・タナカ氏の娘である田中千絵さんが演じ、見事な北京語を披露していた。

時代のしがらみで結ばれることのなかった恋と、自由になった現代の若者を対比させ、彼らの想いによって60年越しの哀しみが癒されるドラマティックな展開自体はベタなのかもしれないけれど、そこに重きを置いてお涙頂戴には持って行かないところがとても良い。

モデルとして契約した事務所から、台湾の音楽イベントのコーディネーターを言いつけられ、やりたくない仕事にイライラが止まらず現地の台湾人たちに当たりまくる友子が全然可愛げがないところも逆にリアリティあるし、なんといっても足跡で作った田舎バンドチームが町おこしで一躍かってしまうというおじさんたちのリスタート的青春ストーリーがコミカルに描かれていて、最後予定外に泣けてきちゃったな・・・

60年前の伝えられなかった想いを語りで流すJIN(仁)のドラマみたいなノスタルジック回想シーンと、現代のドタバタ劇の温度差にはじめこそ違和感を感じたけど、慣れてくるとこの作品の登場人物全員を応援したくなってきた。
台湾原住民の血筋が多く登場し、まるでハワイや沖縄ような南国の海の堪能できるので旅行した気分になれるの癒し系ムービーでもあります。
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