2011年森脇女子学園の卒業式に列席した金原が死亡する。遺産の殆どを市に寄贈すると聞いた婿を説得する為ヒサエは昭和20年8月の真柴少佐の日記を読み始める。真柴少佐は陸軍省へ赴き小泉中尉と共にマッカーサーが父の代からフィリピン独立のため蓄えた財宝の隠匿しろと命を受け、直属に望月軍曹を付けると言われる。詳細は都度知らせ、文は焼却せよとのことだった。
▶︎浅田次郎原作を佐々部清監督が映画化したもので『ツレがうつになりまして』と同年製作。こちらは陰謀論めいていていくら戦後が舞台といってもフィクションが過ぎていた。
真柴少佐の密命に女子中学生20人と引率の教師が関わる話で、ラストのファンタジー過ぎる展開に引く。
2011年日系二世ながら在日米軍の司令官を務めた五十嵐に記者がインタビューするシーンから始まり、五十嵐が戦後日本の形に大きく関わった三人の日本人について話す形と、ヒサエが真柴少佐の日記からポツダム宣言受諾直前の財宝隠匿計画の顛末を語る話が合わさっている。
“近代史を知らない人”に8.14クーデターと阿南大臣の切腹や梅津参謀総長の巣鴨プリズンでの死亡と事実を断片だけ入れ、女学生の末路に導く手段と顛末に違和感しかない。こうやって情弱を生んで行くんだの見本品。
“幽窓無暦日(ゆうそうにれきじつなし)”
WOWOWの『浅田次郎特集』にて鑑賞。