みおこし

嘆きの天使のみおこしのレビュー・感想・評価

嘆きの天使(1930年製作の映画)
3.0
マレーネ・ディートリッヒが一躍注目を浴びるきっかけとなった、ジョゼフ・フォン・スタンバーグ監督作品。当時100万ドルの保険がかけられたというマレーネの美脚にまつわるエピソードはあまりにも有名。

堅物教員のラート教授は、教え子たちが書いた卑猥な落書きに描かれているのがキャバレーの踊り子であることに気づき、それを取り締まるために初めてキャバレーに向かう。そこで出会った踊り子のローラは妖艶な魅力を放つ存在で...。

いやー、とにかく悲惨なお話でした...。当時としてはかなりセンセーショナルなお話だなと。悩ましい脚線美にいつしか心を奪われ、ローラにほだされていく教授の姿と言ったら目も当てられない哀れさ。初代アカデミー主演男優賞を獲得したドイツの名優エミール・ヤニングスの熱演も相まって、すさまじい悲壮感が漂っていました。落ちぶれた先が道化師、っていうのもまた『ジョーカー』でアーサーが受けた仕打ちを彷彿とさせますね...。(この後ヤニングスはナチス・ドイツとの親交を深めた結果、戦後のキャリアがほぼ消失したと思うとまたまた切なくなります)
マレーネはやはり独特な魅力を醸し出していて、危ういセクシーさと美しさがまた魅力的!!御御足はとても綺麗だったけれど、舞台上での立ち姿が妙に勇ましくて(笑)翌年の『モロッコ』での男装姿はこれにスタンバーグ監督が感化されたからなのかな...と妄想(1ミリも根拠ございません笑)。歌唱シーンも正直とっても上手、というよりはセリフがほとんどだったので違和感を覚えましたが、でも監督がベストな方法で描き出したマレーネが美しかったのでオールOK!(笑)

どんな生真面目な人間でも、愛欲には勝てないんだなあと普遍的なテーマを描いた古典作品でした。ドイツ映画は本当にシュールなものが多い...。冒頭の鳥かごのシーンから唖然とし、ラストも悲惨な展開に閉口してしまいました(笑)。
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