これはおとぎ話だ。何がおとぎ話かって男が逃げない。現実で私が学習して学習して無力感に苛まされているのはとにかく男は逃げる、逃げ場がなくても逃げる、ということなのだけど、この映画に出てくる妊娠させた男も娘が妊娠した男も逃げない。そのまま受け入れる。私が見て知っている男は養父になれなかった男のように逃げる。ああいう姿しか私は知らない。
だから今はおとぎ話だけどいつかこの映画がおとぎ話ではなく「普通」の話として受け入れられたらいいなと思う。
私の知っている男は逃げるけどエリオット・ペイジは逃げない。逃げないから男として今生きている。そんなカッコよくて逃げない男だから、その姿に希望を託したい。ロールモデルを引き受けざるを得ない境遇は気苦労も絶えないだろうけど、逃げないカッコよい男がこの世にいるのは私の希望だから、だからどうかそのまま輝いていてほしい。
