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JUNO/ジュノのmygのレビュー・感想・評価

JUNO/ジュノ(2007年製作の映画)
3.9
16歳の女子高校生ジュノは、興味本位でした1度の性行為で予期せぬ妊娠。お腹の子の父親は同じく高校生のポーリー。ジュノは中絶を決めるも、途中で断念。生まれる子を養子に出すことにする。長い冬が過ぎ、春から初夏に変わるころ、ジュノは出産を迎える。

何より、ジュノの芯の強い人柄や、周囲の人達が素敵。
特に友達のリアはユニークだし、本当にジュノ想いで最高。
父親役のマックは、強面役の多いあのJ・K・シモンズではないか。この映画ではめちゃくちゃ可愛いくて優しい父親役で驚いた。笑顔も素敵。

里親のヴァネッサとマークについて、個人的にはマークが気になった。
ロックの黄金時代は1977年と言い張るパンク好きのジュノに対して、マークは1993年という。
マークの年を鑑みれば、彼の中での黄金時代は1994年にシアトルの自宅で拳銃自殺を図り27歳の若さでこの世を去った「ニルヴァーナ」のカート・コバーンに由来していると推察する。それ以来のアメリカの音楽はヒップホップが世の中を席巻していたし。
93年というのは、彼が「若さ」を引きずって、ロックスターの夢を諦められずにいることを象徴しているのかもしれない。あのヴァネッサとの喧嘩のシーンでマークが着ていたTシャツも、ニルヴァーナのプリントされたものではないか(違ったらすみません)。きっと彼がCM作曲業をしているのは、あまりにも現実的な妻ヴァネッサの意向だったのだろう。シンディー・ローパーみたいな遅咲きのスターもいるけど、現実的にはロックスターになるって難しい…なんてことも考えさせられた。これはあくまでも私の視座。

女性として共鳴する場面もあった。
特に、ポーリーがジュノでなく他の女の子を誘って遊びにいくことで喧嘩になったとき。
ジュノの気持ちを考えたら普通そんなことしないだろう。でもジュノがそのことを言及すると、「君は幼い」「僕を傷つけたのに」なんて、ひどいことを言うなと思った。ジュノの「あなたはいいよね、証拠が残らないから」という言い分には、胸を締め付けられる想いがした。その通りだよ。
結局ジュノが謝って事なきを得るわけだけど、「なんでポーリーはあんなひどい事言って謝らないの!?」という憤りを感じた。ジュノも口悪だったのは否めないが。とはいえ、結局仲直りできたので良かった。

若年出産は「14才の母」みたく苦しく葛藤する場面が続きがちだけど、本作はコメディタッチで描かれていて、敷居が低い。妊娠から始まる恋愛ストーリー。とかく愛でいっぱいの良い映画。
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