140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ダーティ・メリー/クレイジー・ラリーの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

3.8
【一寸先は闇、されど突っ切れ】

アメリカンニューシネマ期における必見のカーアクション。陽気や出だしと向こう見ずな若者。クライムストーリーながら陰鬱さはなく、かといってスタイリッシュにキメるには程遠い荒々しい運転。スーパーマーケットの駐車場からジャンプで飛び出す破天荒さ。警察の追っ手を次から次へとクラッシュさせてランナウェイロードを駆ける3人。手を焼く警察を尻目にゲームのような逃避行をするのだが、彼らの素性は少々の情報量。スマートながら向こう見ずさを鑑賞者の興味からも逃げ切ろうとする熱情の少なさもある種の魅力。当の本人たちは間の抜けた部分もあり、アウトロー側でスリルに快楽を求めているがゆえの切なさも感じる。クライマックスに向けてパトカーのレベルを上げていき遂にはヘリコプターともチェイスするギリギリの攻防。警察を躍らせ、そして躍らされ。ラストシーンは唐突に冒頭のカットを思い出させる。フラグを立てた瞬間に折る以上の破壊と爆破は、勧善懲悪とはまた違った質感のハシゴの外し方。奇をてらっていると考えるのが妥当なのだが、映画としての感情移入のチェイス劇を振り切った映画の逃げ切りとも見える。