Jimmy

曖昧な未来、黒沢清のJimmyのレビュー・感想・評価

曖昧な未来、黒沢清(2002年製作の映画)
3.3
映画『アカルイミライ』の製作現場に入り込んで作られたドキュメンタリー映画。
この製作現場から、監督をはじめとする作り手と出演俳優たちの「思い」が伝わってくる力作であり、貴重な映像である。

黒沢清監督は自著でもおっしゃっているとおり、ロバート・アルドリッチやドン・シーゲル好きであるが、この記録映画でも「年寄りと若者の価値観の対立を描くには藤竜也さんのご出演が欠かせないと思ったんですよ。ロバート・アルドリッチの『北国の帝王』ですね。」といった発言を監督がしているだけでなく、『ダーティハリー』についても言及しているあたり興味深い。

また、黒沢清監督の「ドキュメンタリーとフィクションの境目は無い。ドキュメンタリーだって意図的な描き方をするだろうし、フィクションを撮っていても突発的な事が起こるわけですから」というセリフに納得。

更に、監督の「編集の時には独裁者になる」宣言も、クロサワ映画の真髄にふれる発言だと思う。

素晴らしくて貴重な作品である。
この記録映画を観ると、久しぶりに『アカルイミライ』が観たくなる。
Jimmy

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