ヴェンダース作品にミシェル・ウィリアムズが出てるというだけで借りてみたら、内容はけっこう社会派だった。後半はロードムービーになり、ヴェンダース作品らしい余韻が残る。
ドイツ人のヴェンダースがアメリカ人を危惧している。9.11の2年後を描いた作品。
伝道活動でイスラエルにいたラナ(ミシェル)が、ロスに帰国し、ホームレスのボランティアをしながら、唯一の親戚である叔父のポール(ジョン・ディール)を探す。
ポールはベトナム戦争の後遺症を持ち、9.11以降、独自にテロのパトロールを行い中東の人々に病的なまでに疑いの目を向ける。彼は愛国心を持つことでプライドを保っている状態。だが、ラナとの出会いでそれが間違いだと気づく…
神を信じてるラナと
アメリカを信じているポール。
アメリカは、世界一の大国だというパラノイアで、裏側で蔓延する貧困、差別、中東の人々への偏見など、さまざまな問題には目をそむけている。
真実を見つめなくてはいけないのだとヴェンダースが静かに伝えていました。
低予算でしがらみがないから、アメリカの現実を伝える作品が作れるのだと監督は言う。デジタルカメラで若手スタッフと短期間で感じたままに作った監督のメッセージ。
辿り着いた2人がグラウンド・ゼロを見下ろし、レナード・コーエンの『The Land of Plenty』が流れるラストシーンがよかった。ラナが『ベルリン・天使の詩』の塔に立つ天使と重なりました。
ラナのダンスシーン、お婆ちゃんのテレビが壊れてるシーン、国旗越しの風景、The truth or consequence(真実か結果:直訳)という名の町での設定など、ところどころに印象的なシーンを挟むのがうまくてハッとする。
ミシェル・ウィリアムズとリチャード・エドソンが好きなのでスコアはややプラス。
♪この豊かなる国が
いつの日か真実を照らしますように♬