シズヲ

ユタから来た男のシズヲのレビュー・感想・評価

ユタから来た男(1934年製作の映画)
3.3
ギターを持った渡り鳥、デューク!弾き語りをしながら登場するデュークの姿は古典西部劇の味わいがあって新鮮(『バスターのバラード』でもパロディ化された“歌うカウボーイ”の一例めいてて印象的)。ただ、このキャラ付けはオープニングを経てギターを置いてからは速攻でスルーされるのである意味微笑ましい。

ロデオ大会での陰謀が主題として描かれるので、競技化されたロデオのシーンがふんだんに盛り込まれているのが印象的。西部開拓時代というより20世紀初頭のような規模なので明らかに実際の大会の映像を引用している感は否めないけど、それだけにある種の記録映像のような趣がある。荒れ馬を乗りこなすお馴染みの競技のみならず、2頭の馬をスタンディングしながら乗りこなしたり牛に飛び掛かって抑えつけるまでの時間を競ったりなど結構バラエティ豊かなので興味深い。何だかんだ言ってそこそこ迫力がある。ワイルド・ウエスト・ショーの話もそうだけど、ショービジネスへの迎合はインディアンの生きる術の一つだったのだなあ。

ロデオ大会の描写はともかく内容自体はまあ普通のB級短編西部劇だし、あからさまに後付けらしき安っぽいBGMが挟まれているのは引っかかる。女優二人が似たようなメイクで顔の判別が付きづらいのも妙に印象に残る(当時の女優、この手の顔立ちが結構いる印象)。あと“実は連邦保安官だった”というオチはやはり古典的な黄金パターンであることが伝わってくる。
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