りっく

新選組のりっくのレビュー・感想・評価

新選組(2000年製作の映画)
4.0
原画を拡大して登場人物を切り抜き、発泡スチロールの台紙に貼り付けて人形化。背景の建物などは原作の雰囲気に近づけた模写で配置して奥行きのある画面を作り出している。市川作品ではお馴染みの凝った照明を人形に当てて濃い陰影を作り出し、刀のきらめきや雨などは実写映像をインサートしている。

特筆すべきは血しぶき。絵の上にべたりと飛び散る鮮血は金田一シリーズの殺人シーン以上に凄まじく、池田屋騒動で画から吹き出す血は圧巻。

おなじみ新選組の結成から近藤勇と沖田総司の死までが描かれるが、かつてATGで撮った「股旅」と同じく市川崑は彼らの若さを強調。アメリカン・ニューシネマのように寂寥感あふれる青春の光と影を描き、新選組を破滅的な青春群像としてとらえる視点が瑞々しい。
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