tomie77

ひなぎくのtomie77のネタバレレビュー・内容・結末

ひなぎく(1966年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

60年代のチェコ映画。画面の色がころころ変わったりモザイク状になったり、映像表現が今見ても斬新でお洒落。マリエと名乗る2人の少女は、下心を抱く男性をたぶらかしては食事を奢らせ、レストランで酔っ払って騒ぎ、部屋の中でバーベキューをするなど、好き放題をし続ける。終いには忍び込んだホールの豪華なご馳走を食い散らかし、投げつけ合い、ぐちゃぐちゃにしてしまうのだが…。

誰かの恋人でも妻でも母でもなく、大した仕事も目標もない。そんな少女2人は社会に居場所がなく、いつも何か悪い遊びをし続けてないと自分の存在が実感できない。しかし当然、その振る舞いは社会に受け入れられずに排除される、という話に思えた
当時のチェコの社会主義体制への批判や風刺が含まれているそうだが、社会の役に立たないと見なされる、マリエ達のように何者でもない人々の居場所のなさや生きにくさは今も共通する悩みではないだろうか。時代も国も越えて今の日本でも人気があるのは、今を生きる多くの’マリエ達’に共感され、受け入れられているからかもしれない。
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