Sari

ひなぎくのSariのレビュー・感想・評価

ひなぎく(1966年製作の映画)
4.5
2017/12/08 名古屋シネマテーク

90年代に日本で公開された当時は見逃していたこの伝説の映画、20年越しにやっと鑑賞する事が出来た。

ともにマリエと名乗る2人の少女のファッション、インテリア、自由な行動、ポップでアバンギャルドな映像がとにかく斬新で芸術的。

赤、黄、青、緑などのカラフルな色使いとモノクロ映像が次々と実験的に切り替わり
ゴダール監督が絶賛したのもよく知られているが、ゴダールに負けず劣らず強烈だ。

この姉妹が男を騙し食事を食い散らかし酒を煽る。部屋で紙のオブジェを燃やしてみたり、牛乳風呂に入ったり…もうとにかくやることなす事ハチャメチャでやりたい放題。
若さゆえ怖いもの知らずだが逆に言えば、どこにも居場所のない不安や孤独感。
歯止めが利かず、最後は予想通りに破滅に向かう2人。
この刹那的な2人に「少女だった頃の自分」を投影したのはきっと私だけでは無いだろう。
90年代の岡崎京子やピチカートファイヴなど、この『ひなぎく』に影響を受けた渋谷系カルチャーの著名人達が有名だが、当時彼等のファンだった私はやっと観れた事が何より感慨深い。

この映画の根底にあるのは束縛への反抗、自由への憧れなのか。
作られた当時の時代背景やチェコの社会情勢を知らなければ、完全に理解するのは難しいのだと思うが、余計な理屈抜きにしても、この作品が50年以上前にチェコで作られた事に驚きを隠せない。
新聞紙を纏った衣装も斬新の極みで、ラストも衝撃だった。
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