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ブレード/刀のfieldのレビュー・感想・評価

ブレード/刀(1995年製作の映画)
3.5
片腕必殺剣のリメイク、ゴールデンハーベストの中でも異色だったのでは。西方辺りの貿易拠点と思われる弱肉強食の街を舞台に復讐に駆られた男の物語だが、娯楽アクションとは違う暗さが漂い娼婦らしき女性や異性に目覚めた娘が戸惑う性の部分は纏わり付くようで独特な雰囲気。

衣装や出で立ちも珍しく感じたが顔を白く塗った禍々しさのある盗賊や狩猟用のトラバサミで罠を仕掛ける猟師たち、野良犬を捕まえ、人を吊るし火を放つ、勝てれば何でも有りの無法地帯。自治の存在しない地域で生きる刀鍛冶の弟子チュタオとテンゴン、自分を巡り奪い合って欲しいと願う師匠の娘リンの焦りや復讐を終えるまで戻れないテンゴンの後ろめたさ、幼くして孤児となり自分を模索する気持ちとしての揺れを表したかったのだろうな。アクションでのブレるカメラワークや陰影のハッキリした照明、特に夜のシーンなんか動きが見づらい。でも雰囲気は出てる。
決闘ではしっかりアクションをしてるし遠心力や動きの中で垣間見える身体能力の高さは見ていて格好良い。キャストの好みもあるかな、テンゴンの文卓や全身入墨み殺し屋ルンの熊欣欣。

温厚だが生みの父の非業の死を知り復讐へ旅立つテンゴン、リンを助ける為に失った片腕の代わりに掴んだ剣術の本で再び自身を取り戻す。亡霊のように抜け殻で待つリンを連れて探すチュタオ、一本腕として名を馳せ盗賊らに狙われ、雇われた殺し屋ルンによって向かえた師匠や仲間の危機に駆け付けるテンゴン。父の形見の折れた剣を鞭のように扱う泥臭い戦いは見応えがある。
盗賊の襲撃に混乱の中で相討ちしそうになったり冒頭でもマッスル僧の喧嘩スタイルや少しの刀傷が致命傷になる超人では無い常人の設定もリアルでこの作風と合ってるように思う。
復讐は復讐を生む、戻らぬ事で守る大事な家族、年老いたリンによる回想。

世話をしてくれた孤児少女役の鍾碧霞は2作ほどしか出てないようだ、印象的な役だったけどな。若きリンの祖母役の銭似鶯はサモハンの実の祖母なのも随分後で知った。中国初のアクション女優のようだ。テンゴン父にコリン・チョウ。
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