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ブレード/刀のtakのレビュー・感想・評価

ブレード/刀(1995年製作の映画)
3.2
孤児として刀鍛冶の元で育ったテンゴンは、ある日父親を殺した”空飛ぶ刺青の男”の話を耳にする。しかし彼は盗賊との戦いで右腕を失うことに。失意の日々を送る中、ふとしたことから剣術書を見つけた彼は父の遺品である折れた刀で猛特訓。ついに誰にも真似できない技を身につける。そして刀鍛冶の危機に駆けつけたテンゴンの前に父の仇が現れた。

香港アクション映画の常道たる復讐劇に激しい剣劇を取り入れたこの映画、タランティーノ監督もお気に入りのようで彼が主催するフィルム・フェスで紹介されたこともある作品である。勝新の「座頭市」以後製作された、ハンディキャップを持つ者が活躍するアクション映画。その一本であるジミー・ウォング主演「獨臂刀(どくひとう)」(67)のリメイクが本作だ。

アクションが凄い。というか”すさまじい”という方が似合う。観ているこっちまで”痛っ!””熱っ!”と声上げそうなくらいに過剰。獣を狩る罠がそこらじゅうに置かれていたり、主人公が折れた刀に鎖を付けて飛び道具として使ったり、仇役の刀は3つに割れたりするアイディアが楽しいが、その刀をブンブン振り回すクライマックスは思わず画面から離れてしまう危なさ。これ程釘付けになるアクション場面は近頃ないゾ。

白塗りの盗賊団とテンゴンの対決シーンも、逆光のカメラが美しく印象に残る場面。アクション以外の人間関係や物語を進めていく場面は最小限で、とにかく全編戦っている。それこそがこの映画の存在意義。力ずくで我々を結末まで放さない映画だ。刀鍛冶の頭領の娘が語り部となるのだが、このナレーションが妙にミスマッチなのもいい。この映画のアクションを文章で表すのは困難。是非自分の目で確かめて。
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