ミシンそば

文化果つるところのミシンそばのレビュー・感想・評価

文化果つるところ(1951年製作の映画)
3.6
コンラッドの原作を観るのは多分二度目か。
主演は今の時代の俳優で例えたらマシュー・マコノヒーとかそう言う系の雰囲気が醸し出されてる、若い頃のトレヴァー・ハワードで、ラルフ・リチャードソンやロバート・モーレイなどの実力派が脇を固めている。
それで以てオールロケ。インドネシアの群島を舞台に(ロケ地は主にスリランカらしい)、呼吸をするように人を裏切る男が破滅してゆく様を描くのがこの映画だ。

作中で難所航海の場面以外は特撮らしい特撮は多分なくダイナミック。
それでも、本質は呼吸するように人を裏切るくせに、何かを成すにはここぞというところで度胸がないアカンタレなウィレムスが、周囲の色んな人を不幸にしつつ、ファム・ファタール同然な現地民の女性(戦略的にジャワ系と言うことにしてるけど明らかに白人のケリマ)に溺れてゆく、分かりやすいフィルムノワールだ。

コンラッドの原作も、キャロル・リードの筆致も、どこか他人事のように客観的で、誰に対しても同情などできないような作り(結末も至極当然)。
脇役にオルメイヤー(オルマイヤー)と言う名前が出てきたけど、コンラッドの他作品と関係ある男なのか?