くぅー

その木戸を通ってのくぅーのレビュー・感想・評価

その木戸を通って(1993年製作の映画)
3.7
あの市川崑監督が、まだハイビジョン撮影が黎明期だった1993年、初の時代劇長編作品として実験的に撮った代物で・・・BSの専門チャンネルで一度だけ放送したが、改めて劇場用に復活させた幻の一品。

記憶喪失の娘を軸に、ちょっとした異聞系の寓話になっていて、程良くコミカルな味付けながら、しっとりと切ない。

それを引き出してるのは、やはりハイビジョンを意識した照明へのこだわりで、特に雨や竹やぶ等の自然のショットの美しさには、ハッと息を飲んでいた。

まぁ、もう一捻り欲しいラストだけど・・・"ほどほどに"いい余韻で、正にどこかの木戸を通って蘇って来た、何とも言い難い風情にニンマリしてた。

俳優陣では、やはり浅野ゆう子・・・美しさが際立ってましたね。
対する中井貴一も持ち味を生かした流石の演技。
そして、今は亡きフランキー堺に岸田今日子の好助演にしみじみ。
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