いわやん

松川事件のいわやんのレビュー・感想・評価

松川事件(1961年製作の映画)
3.8
1949年の8月17日の深夜、何者かによって国鉄のレールが外されて、蒸気機関車が脱線。三人もの犠牲者が。

いわゆる「国鉄三大ミステリー事件」のひとつの「松川事件」の中で、当時犯人とされていた人々の逮捕からの裁判を、後の裁判で無罪になるも、いかにして最初の一人の逮捕から、当時の国鉄の反対勢力の大勢を留置場へぶちこんで裁判を進行していったかを被告側から観た解釈で作られてます。

古い作品で、製作当時は第二審までなので、最終結審にはなってないのですが、収監された各被告の心情とか意見を細かく描いていて、裁判シーンなんかは緊張感が凄いです。

考えたら、私はこの様な作品は好きで、「アンタッチャブル」のラストの裁判シーンとかも好きでした。

昭和の初期の警察の横暴によって、理不尽で不当な判決から、この様な作品が作られて一般の人達に真偽を問うパターンのジャンルを感じて。

特にこの作品では、真犯人については殆んど語られておらず、今の通説では政府の陰謀説、国鉄による国労へのダメージ説、当時のGHQの労働組合からの日本の「アカ」化への妨害工作説と色々あります。

結局無罪にはなりますが、何十年もかかり、当時の関係者が殆んど退職されたりした後と言うのも・・。

この作品を観て感じたことは、戦後の日本において民主主義の意義を若い私達の親世代がたとえ政府を向こうに回しても真剣に考えて行動してたと。

ちなみに、特撮好きな私としては、結構この作品にも特撮俳優さんが出てますが、印象に残った人が新聞記者のチョイ役で、「帰ってきたウルトラマン」の MAT初代隊長役の塚本信夫さんを確認しました。
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