まりぃくりすてぃ

セシルの歓びのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

セシルの歓び(1967年製作の映画)
3.2
理想への衝動に正直。それはピュアということ。
人の心を気遣い、スジを通そうとする。それは誠実さ。
ピュアで、しかも誠実、という、相反する場合もある二つの善を、己の中で両立させようと努めるヒロインだけど、理想の中身もスジそのものも把握しきれてない彼女は、多少輝くばかりで幸福になれず、輝きゆえに求められつつも男性たちを幸福にすることができない。
────というナカナカ香り高い脚本のようだった。(原題/『心ゆくまで』)

主演がブリジット・バルドーじゃなければいけない理由は見つけづらかった。最終的には私は、見つけたのかな。
体つきはまあ、支持者が多いだろうから長所と言いきってあげられるけども、髪と顔立ち全体とアイラインが常に主張強すぎて。。
金髪は、風になぶられたり最適に輝いてたりして、いくつかの場面で大活躍してたからいい。でも、アイメイクがね。。。。。(できれば五十年後や百年後の鑑賞者に対しても責任持てるようなメイクをしてほしかった。 ☜勝手に言う。)

相方のローラン・テルジェフは、そんなバルドーとの “これっきりの似つかわしさ” が特筆モノだった。
イケメンなのに、キモい! 髪形とか揉み上げの汚さとか黒ぶちメガネとかでわざとキモさをアップ?(台本でも「見かけが悪い」と自分で言い、バルドーにも「醜い顔」って言われてるし、役柄もストーカー的で唯我独尊的で不当に秘密的だったりして、とにかくキモイケメンぶりがヒロインを惹きつけつつ苦しめつつクスグリつづけてて、大変にユニーク。)
特に、砦(城跡のような館)で「嫌いな牛乳」をバルドーにむりやり飲まそうとして(本気で?)悲鳴上げさせてる場面は、デコルテの近撮しかしてないのにすごくエロティックで(まるで変態セックス強要みたいで)すごい演出力だった。『シベールの日曜日』の監督なんだね。
その砦シークエンスは、バードウォッチングタイムでもあって、不思議に味感。
とにかくテルジェフは、本当に、王子様役と犯罪者役をまちがってキャスティングしちゃったみたいなイケキモメン。甘い、幼い、紳士らしさ。そして、企み多く、老獪さを気取ってる、野性味。そんなのが同居しまくってて、彼が演じたその人物への私たちの「不賛成」な気持ちを、作品は逆撫でして逆撫でして、傍若無人にラストのスピード感へと重だるく誘(いざな)った。嘘っぽいジュ・テームに、嘘泣きもあった。。。

ラストのバルドーの佇まいに、ようやく「彼女が主演で、よかったみたいだね」と薄い賛成票を用意。もっと佳作だと思おうと思えば思える。☜変な言葉遣い。

[つたや]



◆余談◆

昔々あるところに、女の子が産まれたそうな。両親はてっきり男の子だと(☜特に根拠はなく)予想してたらしくて女の子用の名前をあまり真剣には用意してなくて? かどうかは知らないが、パパは芸能人をいろいろ並べて「静香」「唯」「美奈系」などを候補にしたそうだが、ジージが「日本の歌手とか芸能人なんて流行り廃りがあって、安易ではないか? もっと不朽の名前にするのがよかろう」と助言。親族会議が一回ぐらいあって、マリリン・モンローなら不朽さに揺るぎはないだろうというジージ案がパパ&ママを説得し、晴れて赤んぼにはマリ系の名前がつけられた。
ところが!
じつはもう一人の赤んぼがお腹か脳味噌かどこかに存在することが判明(ブラックジャックのピノコみたいな特殊な双子だったのか、それとも統合失調症の始まりだったのかは不明)、急遽、お笑いでいうところのツッコミ役としてもう一つの名前が必要になったそうな。(エーッ!?)
その時、ジージが「MM(マリリン・モンロー)に対抗するのは、BB(ブリジット・バルドー)と決まってる」とまたまた世界的視野から助言。かくして二つめの人格には「ブリ」という名がつけられることに。(エエーッ!!?)
かくしてマリとブリという仲良し姉妹がこの世に誕生したのだった。(エヒャヒャヒャ…)
でも、待ちな。
ブリなんて名前だと学校で「やーい、尻から出てきたやつ」とか「やーい、聖子の生まれ変わり」とか「やーい、今はまだハマチ(イナダ)」とか毎日いじめられるのは必至でしょ! ブリなんて名前じゃ可哀相!
てことで、「MMにBBといえば、もう一人、CC(クラウディア・カルディナーレ)もいたじゃろ」という正論がどこかから聞こえ、ブリよりはこっちのが、と、ブリとクラの折衷で「クリ」という名前に変更されたそうです! よかったね、クリちゃん。
かくして、マリとクリという無敵のデュオがどんどん大きくなっていったのであった。(ヒャッヒャッヒャッヒャッ…)
しかし、一連の昔話を時々聞いたが本人たち(マリとクリ)は、モンローもバルドーもカルディナーレも素敵と思ったことが少なく、成長するにしたがってどんどん不遜になっていき、ついに「世界映画界の中で、唯一、綺麗と認めるのは、GG(グレタ・ガルボ)だけ」と結論しちゃった。
元々女優のことを言い出したジージ(GG)も、生きていればそのへんに反対することもなさそうであり、とにかくマリもクリもへったくれもねーよという空気がいつのまにかマリクリ内で広がってきたのだった。
だから、マリとクリは、(グレとガルは言いづらいので)ガリとグリへと改名されるおそれがあるの♪

バカな余談おわり (マリの件だけ本当カモネ。)