Donatello

ミシェル・ヴァイヨンのDonatelloのレビュー・感想・評価

ミシェル・ヴァイヨン(2003年製作の映画)
4.1
レース映画で何が好きか?と問われたら、1番は『栄光のル・マン』と答えますが、2番はコレですええ。
別にル・マン24時間レース大好きな訳じゃないですけども。

フランスの有名な漫画を原作としての映画化。
偉そうに言ってますが読んだ事はありません勿論。
名門「ヴァイヨン」一家チームとそのライバル「リーダー」チームのル・マンでの因縁の対決を描いた作品。

富豪の次男で天才レーサーという生い立ちだけを聞くと、「花より男子」のF4に紛れ込ませても問題なさそうないけ好かない感じを汲み取ってしまいそうですが、別段に王子様キャラではなくストイックに走りを追求する静かな主人公には好感が持てます。

大まかなプロットは単純ながら、ストーリーは鼻で笑ってしまうほどカオスな事この上なく、ライバル・リーダーがヴァイヨンをレースで倒すため、ガソリンタンクに異物を入れたり、レース車両を運ぶトレーラーのタイヤを狙撃してパンクさせたり、果てはヴァイヨン家の親父さんを誘拐したりと、レースに勝つためなら手段選ばない後先考えないその姿勢は「チキチキマシン猛レース」のケンケンですらドン引きしそうな無茶っぷり。
ま、そこは流石の漫画原作。

しかしながら、映像がいちいち素晴らしくてですね。
実際のレースに撮影車両を紛れ込ませて撮った本番シーンはもとより、マクドナルド前に停まってるパガーニ・ゾンダやお庭の芝生の上を走るプジョー607フェリーヌなど珍しい車とその見せ方も面白く、また走行シーンはどれも趣向を凝らしたもので、特にフランスの田園風景や高速を駆け抜けて行くル・マンカーのシーンが秀逸。
ワタクシがカメラを搭載できるマルチコプター(所謂ドローン)を購入したのも根底にはこの映画のシーンに惚れた部分があっての事でして、そういう意味でもこの映画を買ってますはい。

クライマックスがF1ではなくル・マンなのは、『ドリヴン』で大コケしたレニー・ハーリン監督がリュック・ベッソンさんに「F1撮ると金掛かかるよ」と言ったせいだと公開された頃の映画雑誌で読みましたので、当時はハーリン邸の玄関の扉に黒板消しでも設置してやろうかと思いましたが、結局ル・マンだからこその展開になっていて(ただし『栄光のル・マン』の大体パクり)、これはこれで良かったんじゃないかと。

ヒロイン役のダイアン・クルーガーちゃんの少し若い頃の姿も拝めますので、「んなアホな」と度々ツッコミ入れつつ罵しりながら観ていただければこの映画のファンとして大変嬉しく思います。
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