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任侠ヘルパーのodyssのレビュー・感想・評価

任侠ヘルパー(2012年製作の映画)
3.5
【ミスマッチングを楽しむ映画?】

色々論議を呼んでいる作品ですが、自分で見た上で判断しないといけないなと思って映画館へ。

草なぎ君がヤクザをやっています。うーむ。彼は風貌からしてヤクザには見えない。ヤクザといったら、鶴田浩二、高倉健、菅原文太・・・なんて俳優が思い浮かぶようじゃ、トシが知れますけど(映画なら「古い奴とお思いでしょうが・・・」のセリフがここで出るところか・・・笑)、草なぎ君のヤクザは、まあ、ミスマッチングなところがいいのかも知れませんね。でも、宇崎竜童演じるヤクザのボス、決まってましたよね。やっぱり今だってヤクザ役がはまる人っているんですよ。草なぎ君は、顔に善意が出ていて、合わない気が。

ヤクザが合わないっていえば、堺正章だって合わない。うーむ、ミスマッチングを楽しむ映画なのか(笑)。

それはさておき。

脚本は、まあよく出来ていますね。邦画ではありがちの進行ではあるけれど、ヤクザと老人福祉という意外なとりあわせがそれなりに利いています。

そこに安田成美さんと香川照之さんが絡んできます。

安田さんは四十代半ばを過ぎてさすがに若い頃のような色気はなくなっていますが、老母と小さい子供を抱えて必死に生きる役が合っているなあ。あの錆だらけのオンボロ軽自動車、泣けてきますねえ。私、安田さんは昔から好きなんですよ。

香川さんの役も、なかなかはまってましたね。主役はあくまで草なぎ君だけど、香川さんの役があって草なぎ君の役が生きるようになっている。クルマは安田さんと対照的にボルボだし。

安田さんと香川さんの関係が、この映画になかなかいい味を添えています。

それから立派な老人施設の係員の役で美保純が出てましたね。安田さんより年長でもう50代なんだけど、若く見えるなあとびっくり。童顔だからかなあ。いや、彼女は別に好きじゃないんですが。

それにしても、老人問題はこれから日本でも深刻になるでしょう。国が面倒見りゃいいっていっても、老人福祉にだけ税金を使っていたら、或いは老人福祉だけに若い人が使われたら、日本経済は沈没必至。やっぱりできるところは自助努力しないとなあ、なんてしみじみ。

まあ、姥捨て山の映画を現代的に作るとすると、こういう作品になるのかも知れませんねえ。うーん・・・(ここで「考える人」のポーズ)。
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