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パララックス・ビューのRのレビュー・感想・評価

パララックス・ビュー(1974年製作の映画)
4.5
本日またひとつ大きくなりました。ありがとうございます。さて、今日はサスペンスを見よう、と思ってTSUTAYAでいいのないかなと探してたら、奇抜なタイトルが目に飛び込んできて、パクラ監督の作品ということで借りてみた。いいタイトルですね。70年代のサスペンスって、硬質でザラザラしてる割にジトッと暗くて男たちの陰湿な邪悪さが浮き彫りになる、こわーい映画が多い。本作もそんな感じ。ただ、とても眠いときに見たので、内容が頭に入ってこなくて大変だった。最近そんなんばっか笑 てわけで2回見た。ものすごく奇妙なテイストの映画やった。冒頭、国民から多大な人気を博してる超党派的思想を持つ上院議員がパーティーの途中で暗殺される。調査委員会は、個人的な愛国心を原因とする単独の犯行であり、陰謀の証拠は全くないと断定。ところが、その後、暗殺の現場にいた人々が次々に謎の死を遂げている…疑惑を感じた地方紙の記者ジョーは真実を追究しようとするのだが、その過程で、パララックスコーポレーションといういかがわしい会社の存在を知る。その会社はどうやら暗殺者をリクルートしているらしく、ジョーは侵入を試みるのだが…という流れ。本作が普通のサスペンスと全然違うのが、映画のスリルを盛り上げるつもりが全然なく、始終淡々と無機質に陰険なシーンを展開していくところ。ここまでどよんとした即物性を感じさせる映画はなかなかないのではないでしょうか。そして、セリフによる詳しい状況説明があまりないので、いろいろ辻褄を頭の中で合わせていかないといけないのも特徴的。主人公と一緒に迷宮に迷い込むような感覚になる。しかも登場人物が心情的なものをあんま語らない。なので、自分のストーリーに対する解釈があってるのかどうかちょっと不安になる。それが気持ち悪さにもなる。眠いとより一層マンドボグリング笑 さらにテンポが結構スロー。その辺が気にならなければ、ってか好きならば、かなり楽しめる。もひとつものすごく目立つ特徴が、映像のスタイリッシュさ。これだけは文句なしにカッコいい。鮮やかでカラフルなのにダークで重い、ひとつひとつのショットがとても不気味で印象的で、心の中を蝕んでくるような独特のタッチ。特にラスト数分は魔術のような映像の連なりに頭を支配される感じ。さすがにお話的に無理がないか?って部分がなくはないし、陰謀の計画が運に左右される要素がでかい割りにうまく運びすぎじゃね?的なのもなくはない、あと、あのプロモーションビデオ的なんは、始まりの部分で予想してたほどインパクトない笑 けど、最後の最後にずーーんとくる、このモヤモヤしたずーーん感はわたくしの非常に好きなテイストでありました。また見たいと思いました。それにしてもこの時代のアメリカのサスペンスは怖いです。暗黒時代って感じやね。
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