とむ

火 Heeのとむのレビュー・感想・評価

火 Hee(2016年製作の映画)
2.0
自分には物語の筋道も終着点も一見しただけではよく分からなくて、エンドロールに入ったときには狐につままれたような気分になっていた。
原作を読んでいる人や頭の冴えた観客なら、この映画を楽しんで見ることができるのだろうか。

監督・脚本も兼任している桃井かおりが演ずる悲惨な人生を送ってきた女。向かい合って座っている精神科医に対して、酩酊しているように気が抜けた感じでまだるっこしい語りが延々と続けられる。
見ている者に倦怠感を抱かせるほどの佇まいは、桃井かおりの演技力のなせる技によるものなのかもしれない。

後から映画についてのいろいろな記述に目を通すことで、ようやく話の概要も掴めてきた気がする。それでも胸に響き感情を揺り動かすような大きな見所に欠けているのは、自分にとっては厳しいものがある。
原作を読み内容をよく理解したうえで見直せば、初見では気づけなかった面白みも見出せそうな感触もあるけれども、そもそも桃井かおりにも話の展開にも積極的に再見するほどの魅力を感じることができなかった。
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