クロードシャブロル晩年の作品のひとつで、ヌーベルヴァーグの香りを残しつつも「スタイリッシュでオシャレ」とは「ほど遠い」徹頭徹尾コメディ映画。
美しい女性(イザベルユペール)が金持ちの男を色仕掛けでたぶらかして、酔いつぷれたところへ別の男(ミシェルセロー)が現れ金を盗み取るという、まああまりにも使い古された手口によるクライムサスペンス…じゃなくて、コメディだって!
フランス映画特有の会話劇だけで持たせているので話そのものはまったく面白くもなんともないけれど、ヌーベルヴァーグなんてものは昔から筋書きはどうでもいいと相場が決まっているのでこれで良しw
それよりも騙し騙されの畳み掛けがすごく、どこからどこまでを信じて良いのかわからなくてコロコロと話が転がる巧みさを楽しむべしで、どうでもいい脇役がいちいち細かい演技をしていたり、ラスボスのマフィアがどうにも人情味があったりと、こんなに話が無いのに魅力たっぷりなんて名監督の証以外のナニでもない。
エンディングで流れるミシェルジョナスというフランスのシンガーソングライターの曲が妙に耳に残る。尺が合わなくて無音になったかと思ったらまた急に鳴り出すぞんざいなエンドロールも好きw
Wikipediaに書いてあるストーリーのラストの1行には全然納得できないんだけれど、そんな描写あったっけ?