Kinako

ビバリーヒルズ・コップ3のKinakoのレビュー・感想・評価

ビバリーヒルズ・コップ3(1994年製作の映画)
3.8
ただのポリス・コメディなら、この出来栄えで文句無し。だけど『ビバリーヒルズ・コップ』を名乗るなら、違う気がする…。とにかく、前作から7年ぶりに、エディ・マーフィ演じるアクセル刑事が帰ってきた!…が、少しブレーキが効いていた。

1984年に公開された『ビバリーヒルズ・コップ』は世界的に大ヒットを記録し、80年代ポップカルチャーを代表する作品となった。また、第57回アカデミー賞の脚本賞にノミネートされました。

では本作はどうか。第15回ゴールデンラズベリー賞の最低監督賞とリメイク・続編賞にノミネート。なんとも不名誉な結果となりました。その最大の要因として、本作が第1作〜2作目に踏襲していたシリーズの魅力を、そぎ落とした脚本にしていた事が挙げられます。

『ビバリーヒルズ・コップ』の最大の魅力。それはコメディとポリスアクションの絶妙なバランス。具体的には、作品自体のテイストはコメディではなく、リアルでシリアスな刑事ドラマ。その反面、主人公・アクセル刑事は突拍子のない言動で周囲を巻き込んでいきます。

つまりアクセル刑事の言動自体が観客の笑いを誘っているのです。では本作はどうかというと、逆にアクセル刑事がコメディチックな世界観に翻弄されています。例えば、警察署に赴いたアクセルがオカシナ検問の機械にタジタジになったりします。

この場面、もし前作までの演出の仕方なら検問は機械ではなく人で、そこには堅物の警官がおり、アクセルがお得意の話術で相手をタジタジにさせて警察署の中に入っていく場面になっていた筈です。

要は何が言いたいのかというと、ストーリーはポリスアクションとしては、ハラハラする展開もあり、良く出来ています。ただ肝心のコメディの部分を安易な物にしてしまっているという事です。

『ビバリーヒルズ・コップ』のコメディというのは、映画全体をコメディタッチで描いているのではなく、シリアスな刑事ドラマが前提にあるからこそ、アクセル刑事の話術やユーモアを駆使した潜入捜査がコメディとして光る構成なのです。

そういったコメディ描写になっていれば本作は現在までシリーズが続いていたかもしれません。というか、現在、第4作目が新鋭監督によって制作されることが決定しています!万歳!!

色々な改善点を挙げましたが、本作は楽しく観れる作品には違いないので、お家時間にぜひアクセル刑事と一緒にテーマパークに潜入してみてはいかがでしょうか!?
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