トムヤムくん

奇跡の海のトムヤムくんのレビュー・感想・評価

奇跡の海(1996年製作の映画)
4.0
無垢で純粋な女性ベスが、夫を心から愛して、神の言葉を信じ続けた結果、それが悲劇を生み出すという皮肉の塊みたいな映画。

しかも『奇跡の海』っていうタイトルのくせに、1ミリも奇跡が起きる気配もなく、そこも含めてスーパー胸糞映画だった。

ベスと夫ヤンの愛情は、世間一般的にはかなり歪んだ愛情ではあるものの、その愛を理解すること自体は容易くて、なんならどんな恋愛映画よりもしっかりと純愛に満ち溢れていた。その結果、ズレているのは二人のはずなのに、至って通常な周りの態度にただただ腹が立つという更なる皮肉的な話。綺麗事など一切無い…。

個人的には宗教や信仰があまり身近な存在ではなかったので、主人公にそこまで感情移入できなかったのが1周回って唯一の救いだったけど、映画としては致命的。

「好き」ではないけど「嫌い」でもない。かと言って「普通」と言うわけでもない。そもそもこの映画が「普通」なわけがない。唯一無二の不思議な映画だった。

でも、もう二度と観たくない。