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奇跡の海のクリームのレビュー・感想・評価

奇跡の海(1996年製作の映画)
4.0
エミリー·ワトソン、これがデビュー作品なんて凄い。始終、色んな事にイライラする内容だけど、見届けずにはいられない。一番腹立ったのは、村の体質とジジイ達に都合の良い宗教。そして、これは愛の物語なのか?と問われれば答えはYESだけど、ピュアではなく幼稚な愛に思えました。面白かったです。私はトリアー監督がやっぱり、好き。

プロテスタント信仰が強い、70年代スコットランドの村。ベスは、油田工場で働くヤンと結婚した。彼女は、仕事で戻れない彼に早く帰って来て欲しくて、神に祈った。するとヤンは職場で大怪我をして、帰って来たが寝たきりで不能になってしまったのだが…。



ネタバレ↓
(長~いです💦)


ベスは、見送る時に物凄いヒステリーを起こしたり、なんらかの障害がある様に見えた。生まれて始めて出来た愛する人に夢中で、他は何も見えない。
ヤンは身体が麻痺してから、ベスに愛人を作って他の男とセックスをし、その詳細を話して聞かせろと言う。それによって、2人は精神的に繋がっていられると言う。2人とも厨二病の様。
ベスは、夫の為にバーで合った男とセックスした。それをヤンに話して聞かせると、ヤンの病態が回復の兆しを見せた。そして、ベスは派手な格好をし見知らぬ男との関係を繰り返す。夫の病気が良くなるはずと信じて…。
義姉ドドや家族は、ベスの行動にショックを受け、精神病院に入院させる事にした。逃げ出したベスは、病状が悪化したヤンの為に船乗り達の元へ行き一人とセックスを始めると、もう一人が興奮しナイフでベスの体を切りつけた。その時は、怖くなり逃げ出しました。
教会へ行くとベスの行動を知った村の重鎮達が今後一切教会へ来る事を禁じます。実質的な村八分で、子供達から商売女と罵られ石を投げつけられます。そして、倒れても神父は無視します。神に支える身なのに…💢。
ヤンの病態が再び悪化。ヤンを救う為ベスは再びあの危険な船に乗り込み血だらけ、ズタズタにされ、病院に運ばれ、息を引き取った。
ベスの死と入れ替わるようにヤンは驚異的な回復を見せた。ヤンは教会のジジイ達がベスの遺体を地獄行きだと言って埋める前に棺から持ち出し、海に流した。悲しみに暮れる彼の耳に、どこからか教会の鐘の音が聴こえた。

女は教会で発言しちゃいけないとか、死んでも尚、ベスに地獄へ行く事になったと行って葬儀をしないとか、改めて胸糞な宗教だった。宗教を責めてるのではなく、勝手な解釈が許せない。
2人の愛は、確かにお互い愛し合っていたと思いますが、何も考えてなくて幼稚過ぎる愛にあの結末も仕方ないと思えた。悲劇しか生まない愛だったと思う。きっとお互いが、他の人とは通じ合えないだろうとは思うので、巡り逢えただけでも逢えないよりは、幸せだったのでは?と思う。
いつも色々考えさせられるトリアー作品、本作も考えるの楽しかったです。
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